3rd exhibition AGAIN-st Dependent sculpture ―彫刻を支えるものは何か―

会期:2013年9月25日(水) - 10月5日(土)11:00 - 18:00 日曜休館
会場:東京芸術大学絵画棟1階アートスペース1

TALK LIVE
会場:東京芸術大学絵画棟1階アートスペース1内
日時:9月28日(土)18:00~20:00

出品作家:飯田竜太、飯沼英樹、大畑周平、木村充伯、中谷ミチコ、冨井大裕、深井聡一郎、藤原彩人、保井智貴

テキスト:森啓輔、石崎尚

印刷物デザイン:小山麻子

展覧会主旨:
我々AGAIN-STの3回目の展覧会である。我々は毎回テーマに沿ったゲストを招いて、共に展覧会と討議の場を作ることで、彫刻の問題を実践的に考え、問うてきた。初回は彫刻の危機と定義を問い、前回は首像をテーマに掲げた。今回は彫刻の非=自立について取り組んでみたい。

かつて彫刻はペディメントやレリーフとして建築の壁面に組み込まれ、装飾の一部として機能していた。やがて建築から作品が独立し台座の上に設置されることで、構造としても意味的にも自立することとなる。こうした歴史的な経緯を踏まえた上で今回の展覧会に出品されるのは、台座を使わずに壁面に展示される作品である。これは展覧会場である絵画棟という空間の文脈を、積極的に引き受けた問題設定でもある。

当然のことながら壁面に設置される彫刻は、作品の背後の空間を犠牲にするが、それは別の視点から見れば、彫刻に向けられる視野を積極的に限定しコントロールすることでもある。つまり、レリーフに顕著に見られるように、圧縮された奥行きを仮構することが可能になるだろうし、向こう側が存在しないという薄さを直截に提示することも可能だろう。また、台座を用いずに壁に依存する設置方法は、自立という点では確かに後退を意味するものの、作品の支点を契機として、周囲の空間との関係を作品に取り込むことにもなるだろう。

20世紀以降の彫刻の歩みは、作品が台座を降りていく過程でもあるが、それは同時に絵画の三次元化としてのインスタレーションの展開と深く関わっている。今回の展覧会と討議が、優れた作品という実例を目の前にした上での、彫刻と台座、そして展示と場所性を巡る有効な議論の場となることを願う。

企画:AGAIN-ST