アーシュラ・K・ル=グウィン / Ursula K. Le Guin「夜の言葉 / The Language of The Night」

 ほとんど同じ形で、と言っても芸術には普遍的に当てはまることなのですが、作品化されたファンタジーは、言語領域のイメージと論理的な叙述形式に翻訳された、無意識世界の知覚や直観 ― 身体言語、夢の素材、原初的な思考過程 ― であると言えるでしょう。この特質は、その極度の私的性にもかかわらず、わたしたちの誰もが ― 英語圏の者であろうとウルドゥ語をしゃべるものであろうと、また五歳であろうと八十五歳であろうと、すべての人間が共有していると思われるものです。魔女、竜、英雄。夜の旅、手助けをしてくれる動物、隠された宝物 ‥‥‥ わたしたちはみな、それらを知っており、認知することができます(なぜなら、ユングが正しいとするならば、これらは思考の深遠かつ本質的な様態を表象しているからです)。現代のファンタジーはこれらを現代の言語に翻訳しようという試みなのです。  -  アーシュラ・K・ル=グウィン / Ursula K. Le Guin

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